事業計画 > 摩周湖が世界遺産に登録されることの必要性について

 摩周湖は北海道の観光スポットとして有名であり、また世界有数の透明度を持つカルデラ湖です。摩周湖は、周囲を急峻なカルデラ壁に取り囲まれ、かつ流出入河川がないこと、そして、湖流域は国立公園特別保護地域に指定されており、人の立ち入りも制限されていることから、原生の姿を留める数少ない湖沼です。
 国立環境研究所地球環境研究センターでは、1980年から摩周湖ベースラインモニタリングとして毎年1回湖水の調査を行っており、現地調査や一般水質検査等については北見工業大学(厚谷郁夫学長)へ依頼され実施されています。この研究調査において透明度の推移を追っていくと、近年では透明度がおおよそ15〜30mの範囲で上下していることがわかり、先に述べた流出入河川がないという条件を考えると、摩周湖に対する水質汚濁の原因は水系からではなく、むしろ大気汚染によるものと推測され、有機塩素系農薬などの化学物質の湖水における濃度が低レベルであるが存在し、その量が世界の使用実態や全地球的な拡散状況を的確に反映しているといえます。(国立環境研究センターホームページより抜粋)
 こうした状況から考えれば、摩周湖は科学的根拠の話をすれば、世界的規模の大気汚染の状況を忠実に反映し、またそれらの状況を判断する格好の材料として位置付けることができる。また、摩周湖はNHKの放送でもあったような釧路方面の太平洋沿岸からの霧の流入による無類の自然美を現す場所でもあり、世界遺産(自然遺産)の登録基準とされる4つの要素全てにおいて範疇にある例だと判断することができる。そして、この貴重な財産を守っていくためには、まずその地域の住民全体の意思統一が必要であり、また、地域住民の思いに反映された行政サイドの法的整備や周辺地域の環境保全のための施策が必要とされる。
 また、経済面での話をすれば、「北海道の摩周湖」というよりも「世界遺産の摩周湖」という位置付けによって、現在も多くの観光客を呼んでいる現地にもより多くの観光客を呼び寄せることが可能であり、また、世界遺産との共存を図った上での観光施策を充実させることにより、停滞した地元経済のさらなる活性化が期待されるのである。
 こういった様々な要素を検討していくと、摩周湖の世界遺産への登録に対する必要性はおのずと解答が得られる。


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